|
この英語学習アップデートでは、英語の勉強に関する最近の情報をお出しして、
英語を勉強されている皆さんに少しでもお役に立ちたい、と考えております。
第2回目は、漫画家の方が書かれた英語勉強体験記2冊の話題と、当スクー
ル代表が考えている「音読の効用(2)」についてのコメントを掲載しました。
@最近の英語参考書情報
最近の英語参考書の出版ブームはとどまるところを知りません。このような状況に対して、
当スクールにおける英語学習法の軸足(じくあし)は、当スクール代表の著書(「辛口英語
勉強法」丸善プラネット)においております。本書は、当スクール代表の学習経験とビジネス
実務経験に基づいた極めてオーソドックスな内容です。ご一読をお勧めしております。
今回は、最近された出版物として、前回のお堅い本とは正反対の2冊をご紹介
いたします。いずれも、女性漫画家の方の英語学習体験に関する本です。
「やっぱり英語をしゃべりたい!」
著者 : 中尊寺 ゆつこ 発行年月:2005.3 税込価格:\1,260 (本体:1,200) 出版:祥伝社

「英語ができない私をせめないで!」
著者 : 小栗 左多里 発行年月:2004.5 税込価格:\1,260 (本体:1,200) 出版:大和書房

この2冊の本は、英語の勉強を始めて間もない初心者の方が、英語の勉強
に関する悩み、取り組み方、英語スクールのあり方など知るために。買って読
んでみられることをお勧めします。
「やっぱり英語をしゃべりたい!」(中尊寺ゆつこ著、祥伝社)
この本の作者である中尊寺さんは、昨年1月末に残念ながらお亡くなりに
なられました。この本は、中尊寺さんの最後の本ということになります。
この本の中で書かれた内容は、中尊寺さんがどのようにして英語が話せる
ようになったか、という体験談です。ただし、中尊寺さんの体験談のほとんど
は、あなたの英語学習には直接役に立つとは考えないほうがよいと思われ
ます。とはいえ、中尊寺さんは有名な漫画家(例の昔はやった親父ギャルと
いう流行語を発明して若い女性の感覚を代表するような人です)で、英語を
勉強する際の彼女のバイタリティや経験談は読んで面白いでしょう。なお、
私が感じた中尊寺さんの英語マスターの秘訣は、「文法を軽視しなかったこと、
そして、(勉強を)休んでも止めなかったこと」にあります。いわば初志貫徹の
気持ちで努力されたことにつきると思います。
「英語ができない私をせめないで!」(小栗左多里著、大和書房)
小栗さんも最近売れっ子の漫画家です。彼女のだんな様が外国人で、それを
タイトルにした「ダーリンは外国人」という本がヒット作で、一連の「ダーリン」シリ
ーズで有名な方です。彼女の英語学習の体験談は、中尊寺さん以上に具体的
です。しかも、いろいろな英語の勉強方法を体験されており、また、個人的な
体験談が漫画になっています。読んで楽しい本、といったところです。小栗さん
が一般的な英語初心者の視点でいろいろな英語学習法を試してみた結果が
たくさんあるので、同じ初心者としての共感を呼ぶことでしょう。ただし、この本
で英語の具体的な勉強法で参考になるところはそれほどたくさんはありません。
なお、小栗さんが英語の勉強法の最強メニューとして、「ラジオ(講座の利用)、
(単語暗記のためのトイレの壁への)壁貼り、英文をたくさん読む」を挙げられて
います。しかも、「じんじん地道。というか地味」(な方法)と彼女自身、自嘲気味
です。
A「音読」の効用(スクール代表の考え方)
7月から引き続いて、「音読」の効用をお話ししたいと思います。
先月は、音読は効果があるにもかかわらず、初級者や中級者の人にとって、なか
なかとっつきにくい方法であることをお話ししました。
今月は、「音読の効用」そのものについてお話してみたい思います。
音読の効用(全体)
音読は、大きくいって、次の2つの効用があります。
1)英文の基本的要素(発音・単語・文法)を身につけることが
できる
2)文法や英文の構造を身につけることができる
この2つの効用を身につけることができるようになって初めて、本格的な英語
の勉強ができるようになります。すなわち、英語の基本や英文構造についての
学習経験が整って初めて、英文を読む、聴く、話す、書くための本格的な勉強の
条件を満たすことができるのです。もしも、英文の基本的な要素(発音・単語・
文法)や英文の構造理解がないままに、英語の勉強をした場合、非常に効率が
悪くなり、しかも、場合によっては、貴重な時間とお金を無駄にしてしまうという
結果になりかねないのです。
それでは、「音読の効果」について、もう少し具体的に説明することにします。
1)「音読」による英文の基本的要素(発音・単語・文法)の習得効果
この効果には、次の4つがあります。
@)発音の習得
きれいな発音と正しいアクセント・イントネーションを身につけることがで
きます。ただし、このためには、音読のお手本が必要です。お手本がない
ままに、音読をやりますと、発音や単語、文法を間違って覚えてしまうこと
になってしまいます。一度間違って覚えたものはなかなか直せません。この
ことは、ゴルフやテニスの練習でも同様です。したがって、お手本(発音
モデル)は必ず用意する必要があります。
A)単語や文の口慣らし
英語の勉強をかなりやっている人であっても、音読の習慣が身について
いないと、いざというときに、単語や文がスムーズには口から出てきません。
「音読トレーニング」を一定期間(半年から1年程度)やっておけば、単語や
文を口にすることができるようになります。ただし、それだけでは、実際に
聞いたり、話したりできるようにはなるわけではありません。この意味で、
「音読は英語学習の基礎である」ということはできます。
B)単語の暗記
「音読」をたくさんやれば、単語を自然と覚えることができます。しかも、
文の中での意味や用法も体感できるわけです。初級のうちは、この「音読」
で単語を覚えていくことで十分です。もちろん、英語のレベルが上がるに
つれて、より多くの単語を覚える必要があります。この場合には、別に単語
暗記の努力が必要になります。
C)前頭前野の活性化
英語に限らず日本語を「音読すること」は、人間の脳の前頭前野部分を
活性化させます。これは、東北大学の川島教授他の多くの大学の先生方が
主張されている事実です。実験によって検証されているようです。前頭前野
は、脳全体の活動をコントロールする中心的役割を果たすところなので、
前頭前野が活性化すると、知覚機能はもとより記憶機能などの基本的な
脳の役割が活性化されるわけです。最近言われている、老化防止や脳の
活性化には、「音読」が効果的な所以(ゆえん)です。なお、英語の音読は、
日本語の音読以上に活性化の効果がある、と言われています。
2)「音読」による文法理解および文構成理解の効果
「音読」をすると、英文のきまり(すなわち「文法」)の復習になるばかりか文の
構成の理解が一層深まります。
@)文法理解
英文を正しく読んだり、聴いたり、話したり、書いたりするためには、文法
理解が欠かせません。しかも、文法の系統的な知識があるだけでは、書か
れたり話されたりする実際の英文を、文法的に理解することはなかなかむず
かしものです。すなわち、英文法の本(参考書だろうと詳しい解説書だろう
と)を読んだだけでは、英文法の応用力はつきません。ところが、「音読」
のトレーニングをしているうちに、知らず知らずの内に、この文法が理解でき
るようになるのです。
A)文構成(文の構造)の理解
文というものは、英文・日本文に限らず、単語がつながっている順序に読
んだり、聴いたりして、理解する必要があります。しかも、英文の場合は、
日本語に翻訳せずに、英文が書かれた(話された)ままの形で、意味(イメ
ージや考え方)を理解することが大切です。なぜかといいますと、英文を読
んだり、聴いたりするたびに、日本語に翻訳していたのでは間に合わない
からです。
特に、聴き取り(ListeningまたはHearing)の場合一つの文を日本語に訳し
ている間に、次から次へと英文が話されるわけですから、間に合うはずが
ないのです。
したがって、英文にある単語(それが書かれたものであれ、話されたもので
あれ)を、そのまま理解して、しかも、文の構造も理解しなければならない
わけです。このための練習方法としては、「音読」が最善の方法といって良
いと思います。
なお、もう少し詳しく言えば、「音読」の練習では、単語の種類(たとえば、
名詞、動詞、形容詞、副詞、接続詞など)を「音読」することによって、体感
的に理解することができます。しかも、文の構成要素である「句(単語のかた
まり)」や「節(主に主語と動詞で構成されるものでも、大きな文の要素にな
っているような単位)を理解する上でも、この「音読」という方法が一番手っ
取り早い方法なのです。
3)「音読」による読む、聴く、話す、書くことに対する効果
英語の勉強は、実際にReading, Listening, Speaking, Writingができるよう
になることです。「音読」は、これらの本格的な英語学習の大前提と考えるべき
です。「音読」だけで、英語のすべてのスキル向上ができるものではない、と
いうのが私(伊藤弘昭)の持論です。
しかも、「音読」を半年から1年間みっちり練習しておけば、後の練習方法
にもよりますが、これらの4技能の習得は、「音読」をやらない場合と比べて、
圧倒的に効率的にマスターできるのです。これが、「音読」のもう一つのメリット
なのです。このことは、私の個人的な経験はもとより多くの英語をマスターした
人たちの経験そのものなのです。
それこそ、「音読」を練習しておくことこそ、使える英語をマスターするための
最大の条件だと言って過言でありません。これが、「音読が英語マスターの
ための基礎」と言われる所以(ゆえん)なのです。私は、これ以外の最善の
方法を知りません。
|